仕合わせの和 平成29年8月【第185号】副住職

「供養」とは「報恩」の心の表れ

 梅雨の明けぬまま八月を迎えました。八月七日の「立秋」までに梅雨明けが観測されない場合は、専門的には「梅雨明けなし」と言うそうです。
 七月は異常気象の猛暑日が続いたり、かと思えば一転、肌寒い梅雨寒の日々が続いたり、皆様はいかがお過ごしでしたか?
 さて、今年もお盆の季節が到来しました。地域によっては新暦の七月にお盆を迎える場所もありますが、富山県は旧暦の八月がお盆行事の月となります。お盆には故郷へ帰省し、家族や親類の皆様で、亡き親先祖をお迎えし、命の尊さに思いを致す大切な時間を共有いたします。今ある自分の命の源を辿れば、親先祖へと繋がります。そんな親先祖へ「感謝」と「報恩(恩に報いる)」の気持ちを捧げる事を「ご供養」と申します。親先祖に「ご供養」させて頂くことが則ち、自らの命を振り返る事にもなります。
 【日蓮聖人に学ぶ「報恩」の心】
 日蓮聖人は、「報恩」という気持ちを、私達が幸せな人生を歩むための振る舞いとして、とても大切にされました。もっと言えば、日蓮聖人の御一生は、そのまま「報恩」の御生涯と言ってもよいほどです。そこで「報恩」、特にご両親への恩について、日蓮聖人が遺されたお手紙の中から、その心に触れてみたいと思います。
 
 ●《父母は孝養の恩深し。一切衆生は互いに相たすくる恩重し(十法界明因果鈔)》
 
 ●《父母の御恩は今はじめて事あらたに申すべきには候はねども、母のご恩の事、殊に心肝に梁みて貴くをぼへ候(中略)親は十人の子を養へども、子は一人の母を養ふことなし(刑部左衛門尉女房御返事)》
 
 ●《我が頭は父母の頭、我が足は父母の足、我が十指は父母の十指、我が口は父母の口なり。譬えば種子と果子身と影との如し(忘持経事)》
 
 ●《先ずわが父母を孝し、後に他人の父母に及ぼすべし(善悪畏鈔)》
 
 ●《孝養に三種あり。衣食を施すを下品とし、父母の意に違はざるを中品とし、功徳を回向するを上品とす(十王讃歎鈔)》
 
 ●《孝(こう)と申すは高(こう)なり、天高けれども孝よりは高からず。又孝とは厚なり、地厚けれども孝よりは厚からず(開目鈔)》
 
 子供の立場からすれば親というのは生まれて初めて持つ人間関係で、社会における人間関係の基礎となります。親に愛され、親を愛する事を通して、自分自身を愛すること、他人を愛する事を学ぶのです。
 日蓮聖人は出産を通して母性について次のように述べておられます。

 ●《胎内に九月(ここのつき)の間の苦しみ、腹はつづみをはれるが如く、くびは針をさげたるが如し。息は出づるより外に入る事なく、色は枯れたる草の如し。臥せば腹もさけぬべし。坐すれば五体安からず。かくの如くして、産も既に近づきて腰は破れてきれぬべく、眼はぬけて天に昇るかとをぼゆ。かかる敵を産み落としなば大地にもふみつけ、腹をもさきて捨づべきぞかし。さはなくして我が苦を忍びて急ぎ抱き上げて、血をねぶり不浄をすすぎて胸にかきつけ、懐きかかえて三か年が間ねんごろに養う。母の乳を飲む事一百八十石三升五合なり(刑部左衛門尉如房御返事)》
 「父に非らざれば生まれず、母に非らざれば育たず」という言葉があります。また日蓮は「親となり子となるも必ず宿習なり」と仰せです。
 『恩』とは「因を知る心」という事です。遠く私達の命の源を辿り、今ある命に感謝する生き方をもって報いていくことこそ大切なことでもあります。私達のこの命は寿量御本仏様から頂戴し、この肉体は両親(ご先祖様)から頂戴しました。その「因を知り、因に感謝し、報いていくこと」が何よりの御供養になるものと確信致します。
さて、お盆です。
本堂に参拝し、墓前や仏前にて家族一同・親先祖に報恩感謝の真心を捧げましょう。

【今秋、真成寺開創 五百年祭を開催します】
 さて、兼ねてご案内の通り、真成寺は今年で開創五百年という節目の年を迎えました。
 真成寺の歴史を探ると、永正十四(一五一七)年の開創で、本年が開創五百年という大きな節目を迎えさせて頂いたというわけです。

これまで脈々と受け継がれてきた
「500年」
そして、これから受け継いでいく
「500年」

 この貴重な節目に、歴史の証人として立ち会える御縁を深く受け止め、来る仲冬十一月四日に、【真成寺 開創五百年 本祭】を賑々しく、かつ厳粛に開催する事に相成りました。

 これも偏に、真成寺ご歴代々の先師をはじめ、日頃から温かく見守り続けていただく檀信徒各家皆様方、関係各位の皆様方、それぞれ一人一人の帰依篤い信仰心の賜物と感激に耐えません。また実行委員長として、この上ない光栄に浴し、深く感謝申し上げる次第でございます。

 開創五百年祭の記念事業として、素晴らしい企画を様々に考えております。
 『事前祭』…十月二十八日(土)二十九日(日)
 『前夜祭』…十一月三日(金・祝日)
 『記念本祭』…十一月四日(土)
 
 精魂を込めた企画一つ一つの詳細は、追ってご案内させていただきます。
 皆様には心待ちにして頂けると幸いです。
 真成寺は開創以来、五百年もの風雪に耐えながら、今日まで皆様の真心に支えられて維持継承されてまいりました。
  今後も新しい歴史に向かい檀信徒の皆様と共に、地域社会の一役として寺門が興隆すべく、これからも努力精進し歩んでまいりたいと考えております。「恩を知り、恩に報いる」第一歩が、まさに今度の『真成寺開創五百年記念祭』であろうと考えております。
どうか、今後とも変わらぬご支援・ご厚誼賜りますよう切にお願い申し上げます。
 なお、十一月四日の本祭には、総本山身延山久遠寺より万灯行列を招聘し、また、檀信徒のお子さんや孫さんの稚児行列参加への募集を随時受け付けております。
 二度と無い、一度きりの記念大祭でのお稚児さん参加は、何物にも替え難い素晴らしい記念になると思います。どうぞ、皆様のお子様やお孫様にご参加頂き、檀信徒皆様と御一緒に、この記念すべき大祭を円盛できますことを衷心より祈念申し上げております。
 稚児参加の年齢は、0歳〜中学生まで参加可能でございます。
詳細やご不明な点につきましては、お気軽に真成寺へお問い合わせ下さいませ。
 皆様方のご健勝とご尊家益々のご繁栄を祈念申し上げ、まずは略儀ながら開創五百年記念祭開催に向けての、ご挨拶に代えさせて頂きます。

九拝  副住職 谷川寛敬